エンジン オーバーホール(Part 2)
前回に引き続きロアーエンドの作業です。
ガスケット面、接合面のバリ取りを行った後に面出し。これは全ての面に対して行います。オイル漏れを防止・メタルガスケットの使用・化学合成エンジンオイルの使用・ボルト類の緩み防止・エンジン単体の剛性向上が目的です。
コンロッドのリビルド。スモールエンドブッシング・ピストンピン交換(上)クランクピン交換・ビッグエンドレースラッピング・オーバーサイズベアリングにてクリアランス合わせ(下)ピストンピンが黒っぽい色をしているのが分かるでしょうか?
オーバーホールの際、お客様の了解の上でピストンとピストンピンにコーティングを施させていただいています。ピストンピンはDLC(ダイヤモンド ライク カーボン)と呼ばれるものでピンに一層コーティングを施しブッシングへの攻撃性・フリクション(動作抵抗)低減、耐摩耗性の向上が狙いです。ピンはなかなか目立たないパーツですがピストンの動きを受け止める重要なパーツです。ピストンはWPCと呼ばれるものでブラストに似たような処理を施しピストンの表面を改質させます。モリブデン等の微粒子を打ち付けてピストン表面に無数の細かい凹み(ゴルフボールの表面のような感じ)を作ることで凹みにオイルが留まりやすくなります。微粒子を打ち付ける事でピストン表面の硬度が向上し、他にもフリクション低減・ドライスタート防止に効果的です。ピストン交換後は慣らし運転が必要になりますがこの二つを施すと慣らし運転失敗のリスクがほぼ無くなります。(過去に当店で実証済み!)オーバーホールの際は強くおすすめします。
フライホイールワッシャー交換(上)コンロッド ビッグエンド部オイル溝彫り(下)バツ方向に彫っているのがそれです。純正コンロッドには元々ありませんが社外コンロッドにはよく掘られています。ここはフライホイールワシャーと接する所で潤滑不足でなくても鉄vs銅なのでフライホイールワシャーが磨耗しがちです。溝を掘る事でオイルをいきやすく、停滞しやすくして磨耗に対処することが狙いです。
ピニオンシャフト ベアリングレースのラッピング。レースを広げつつオーバーサイズのベアリングでクリアランスをつめます。
クランク周り全ての準備ができたのでそれぞれの重量の計測をしてフライホイールの重量バランスをとります。バランス取りはホイールのバランス取りと同じで不快な振動の発生ととエンジンの耐久性に関係してくる作業です。画像のフライホイールは右上の穴1個あけて動かなくなりました。この穴1個が大きな違いを生んでる!・・・と信じています(笑)
フライホイールの芯だし(上)フライホイールのスラスト調整(下)ここは0.01ミリ単位のシビアな作業です。根気強く、粘り強く?行います。
長すぎたのか、これ以上書けなかったので・・・。なるべくすぐに続き書きますので、Part 3にご期待ください。